2020/05/25 15:16

みなさまこんにちは!宮崎のカレー屋、カリー専門店トプカ宮崎 あいもこいもかふぇです。

新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除になりましたね。

すこしほっとした感もありますが第2波、第3波への懸念もあります。

コロナウイルスが消滅したわけではなく、また特効薬が開発されたわけでもないなか、新しい日常、新しい生活様式という生活習慣の変化が求められています。

私たちの主業務は飲食業ですがこの「新しい生活様式」をいかに取り組んでいくのか、今試行錯誤が始まっています。

場所の提供、料理へのこだわりなど等飲食業には存在価値があるとは思っていますが、なかなかそれだけでは生き残れない時代の到来かもしれません。

そんな中では「お取り寄せ」等、その場で食べる飲食だけでなく全国の方々にお店を知ってもらい商品を購入していただく事も「生き残り」の戦略なのかもしれません。

私たちだけでなく飲食業を立ち上げていらっしゃる方々は、およそなにがしかの「志」をもっていらっしゃる方が多いのだと思います。

今日はその中で「捨てられる命をいただく命へ」その思いで立ち上げた「みやざきジビエ」のお話、おうちでSTAY HOMEを実施されている方もたくさんいらっしゃると思うのでお酒でも飲みながらゆるっと聞いていただければありがたいです。 


みやざきジビエで地域活性! ~捨てられるいのちをいただく命へ~

当店ではジビエを活用した商品の加工もやっています。取り組みをはじめて約5年くらいになります。

ジビエ肉は「不味い、臭い、硬い」等の先入観を持たれている方も多いかもしれませんが本当は美味しいんです。しかも栄養成分がすごいんです!



脂肪分が少なく栄養価が高い。ビタミンや鉄分等、それから脂肪燃焼効果のあるカルニチン、アンチエイジング効果のあるアンセリンなど希少な機能性成分も含まれています。


すこしデーターが古くなりますが宮崎県での野生鳥獣の被害は平成18年度で1.8億円程度。そこから年々被害が増え24年には11億円を超えてしまいました。県では被害対策として捕獲をはじめています。


宮崎県では年間3万頭の野生鹿が、2万5000頭の野生猪が殺処分されています。しかし食肉として利用される分は鹿は5%、猪は28%にすぎません。残りは廃棄されるだけです。


私たちは飲食に携わっていますが「命をいただく」という事には特に感謝の気持ちをもっています。

人間は植物であれ動物であれ他の生命のいのちをいただく事で自分のいのちを繋いでいます。いのちの在るモノをいただかないで自分のいのちを繋ぐことはできません。

なので「いただきます」と手を合わせ今日も自分が生きられる。そういう考え方の中では害獣被害対策と言えども殺処分のみを目的に鹿や猪の命を奪うことは、仕方がない事であってもなにかしら命として報いてあげれないか?
(いただく)ことの意味の大切さを再認識したい。

そういう想いがあります。捨てられる命を地域資源として活用することで食害の軽減と地域活性の両方が実現できれば、、そういう想いでジビエの商品化に取り組んでいます。

美味しくて栄養価も高いのになぜ捕獲した鹿や猪は食肉に利用しないで廃棄されるの?

と思われる方が大多数だと思います。これは宮崎だけでなく国内のかなりの地域で起こっていることです。

国内で捕獲される鹿は年間46万頭、その中で廃棄が95%、食用5%。猪も42万頭の捕獲に対して狩猟については廃棄と食用が半々程度、害獣捕獲の場合は98%が廃棄で2%が食用です。

イノシシについては脂の乗る冬場の方が美味しいと言われますが鹿については夏場のほうが美味しいと思います。

問題なのは処理施設が必要という事なのです。猟師さんが自分で捕獲した鹿や猪を自分でさばいて自分で食べる。それは営業ではないので咎められませんが、たとえば猟師さんが飲食店をやっていて自分の店で提供する。あるいは我々飲食店が猟師さんから仕入れてお店で提供する。こういうのはNGです。もしそういう事実があれば一発で営業停止処分を食らってしまいます。
 
なのでジビエの処理施設で解体されたお肉を購入する必要があります。猟師さんが狩猟した鹿や猪を処理施設に持ち込んでそれを施設で解体したもののみが流通に乗せられます。

でもこれが難しい。県内のジビエ処理施設は現在4か所しかありません。そしてもう一つ、捕獲から処理場持ち込み迄を概ね2時間程度で完結する必要があります。
また山中で内臓摘出した場合にはこの時点で食肉とはみなされません。


他にもトレーサビリティー等面倒くさくても食肉として提供するために不可欠な管理体制が求められます。ジビエ処理施設の拡充が必至ではありますが、はたして採算がとれるのか?という懸念もあったりします。

さて宮崎県の害獣被害額ですが平成24年度の11億円をピークに下がり始めています。これは鳥獣被害対策緊急プロジェクト推進計画が効果を発揮していることがあります。


害獣捕獲数については飛躍的に伸びています。

平成27年度鹿の捕獲頭数が28,451頭。猪は24,264頭。捕獲頭数が増え、害獣被害が減ってきているのですが逆を言えば「捨てられるいのち」が大幅に増えたとも言えます。

野生動物の生息数を制御しながら管理できればよいのですが一方では狩猟者の減少があります。

平成元年頃には8500名ほどいた県内狩猟者ですが平成27年には4,634名、半分程度に下がってしまいました。しかも高齢化が進んでいます。

そこで県では中山間地域振興計画を実施し、「仕事がある中山間地域」を目指しています。


野生の猪や鹿を害獣として捕獲処分するだけではなく、地域資源として活用することで中山間地域の所得や雇用の確保の手段にならないか?といった模索が続いています。

処理施設の拡充も課題ですがその後の販売市場の確保も必要になります。我々飲食店や消費者に美味しいだけでなく安心、安全を確保できる食肉としての流通、売る方から買う方、食べる方まで含めたサプライチェーンマネジメントの構築が必要になります。

そういうわけで私たちは「捨てられるいのちを可能な限り、いただくいのちとして尊厳をもって向かい合いたい」という気持ちで臨んでいます。

正しい処理のもとで流通されるジビエのお肉はとても美味しいです。そして地域資源として地域活性に繋げる量もある。ただし現在のところそのほとんどが未活用で希少なお肉である。というのが現状です。

 ではその美味しいお肉を最大限に美味しくいただくには?というのも大事なテーマになると思います。


 たとえば鹿肉は他の食肉と比べ脂肪が少ないヘルシーな食材です。低カロリーなのに高たんぱく、鉄分も豊富に含まれています。ヘム鉄と呼ばれる鉄分は人間の身体に吸収されやすく、貧血や冷え性を予防する働きを持っています。

 また猪肉は赤身はもちろんですが脂身も美味です。豚の脂身と違い猪の脂身はコラーゲンですのでしつこさはありません。

しっかりとした血抜き処理がされていれば特有の匂いも気になりません。豚肉に近く、味も似ています。肉質は豚肉よりは硬いですが筋肉質が多い証拠。豚肉に比べ低脂肪で鉄分を多く含んでいます。

ただし同じ種類のジビエであっても、育った環境、食べていたもの、年齢、性別、捕獲の期間、健康状態などで肉質や香りに違いが出ます。また部位によっても活用の方法は違ってきます。

当店ではカレーとして、そしてローストの加工を行っています。

ジビエのお肉には牛肉のようなサシ(霜降り)がありません。自然界ではむしろそれは当たり前で和牛のサシは日本人の味覚に合うよう品種改変され、狭い牛舎で穀物飼料を多給し、ビタミンAを制限する事で人工的に作られたお肉です。

和牛が美味しく感じる理由はお肉に含まれる脂肪にあります。熱で溶出しそれがジューシーさを感じさせてくれます。

サシの多い牛肉は加熱すれば美味しく感じれますが赤身だけのジビエ肉にはこの理屈が通用しないので赤身肉本来の美味しさを追求する必要があります。

赤身のお肉を美味しくいただくためにはたんぱく質の組成に着目する必要があります。たんぱく質の組成はいろいろあるので今回筋収縮に関連するミオシン、アクチンにしぼって説明します。

この組成の変化で肉の味覚に変化があります。

「調理する」という行為は「肉のタンパク質に熱を与える」という行為です。

お肉の中のたんぱく質は加熱によって変性します。肉のタンパク質は62℃を超えると凝固が始まり、68℃を超えると、分水作用といって、細胞内から水分が出てしまいます。

これは筋収縮に関連するミオシン、アクチンというたんぱく質の変性によって起こります。

ミオシンが変性を開始すると、ミオシンが収縮して、弾力が生まれることにより、生肉のグニャッっと食感から、お肉としての美味しい食感に変わります。
 
アクチンが変性すると水分を多く含んでいたたんぱく質が収縮することで、「肉汁」を外に排出してしまいます。

という事はミオシンを変性させてアクチンの変性を押さえれば美味しいお肉が食べられるという事になります。コラーゲンのゼラチン化も関係しますがその辺は機会があれば後述します。

また、加熱には殺菌の意味もあります。菌によって生存可能温度はちがうので一概ではないですが概ね下記のようになります。
 
0-8度  ・増殖しない
8-15度 ・徐々に増殖
15-30度・かなり増殖
30-38度・激しく増殖
38-40度・かなり増殖
40-58度・徐々に増殖
58-60度 ・徐々に死滅
60度以上 一般生菌死滅
120度 ほとんどの菌が完全に死滅
 
なので一般生菌が死滅する60度以上。アクチンが変性する68度以下、実際にはたんぱく質が凝固してしまう62度以下でのピンポイント調理が必要になります。

精密な温度管理が必要なので「真空調理法」という調理法で調理します。真空調理とは、食材を生のまま、あるいは調味料と一緒に真空包装し、低温(58~95℃)で一定時間加熱後提供する調理法で、煮る、蒸す、炒めるなどといった従来の調理法と並ぶ、“新しい調理法”です。その特徴は味の向上を図れるという大きなメリットがあります。
 
当店ではこの真空調理法によりジビエのローストを製造しています。また宮崎生まれ!宮崎育ち!全国和牛能力共進会において史上初となる3大会連続の内閣総理大臣賞を受賞している宮崎牛もローストビーフに加工しています。

素材のうまみを生かすためにヒマラヤ岩塩のみで味付けし、他には何も使用していません。
香ばしく焼いたお肉を真空し、低温でじっくりしっかり3日間かけて調理しています。
【みまたんごま】(宮崎県産ごま)を使用して作られた、みまたんごまだれステーキソースもつけています。

みやざきジビエ 天然鹿ロースト250


みやざきジビエ 天然猪ロースト250

宮崎牛ローストビーフ250g

宮崎牛ローストビーフ200g×3個セット

宮崎牛ローストビーフ200g×2個セット


みやざきジビエ 天然鹿肉、猪肉200g×2個セット


天然鹿肉、猪肉、宮崎牛ローストビーフ200g×3種食べ比べセット



またローストに向かない部位、切り落とし部分を利用してカレーも作っています。

宮崎牛カレー


みやざきジビエ天然鹿カレー


みやざきジビエ天然猪カレー




人とウィルスとの戦いはまだまだこれからだと思います。長い戦いになるかもしれません。私たちのお店もこれまでとは違う戦いに戸惑いがあります。


新しい生活様式のなかでおうち時間が増えているかもしれません。ご家族との時間をぜひこれらの商品とともに過ごしていただけたらと思っています。

ただいまローストについては「送料無料キャンペーン」を行っています。ぜひお召し上がりいただいてお中元やお歳暮、アニバーサリーのギフト等使っていただけたら嬉しいです。

また商品紹介させていただければと思っています。今後ともよろしくお願い致します。

カリー専門店トプカ宮崎 あいもこいもかふぇ 鳥丸政彦